アフリカでいま起きていること

最近は日本でも不動産価格が高騰し、「サラリーマンの節税対策に」などと呼び掛ける広告が飛び交っている。もちろん2020年の東京オリンピック開催が経済に影響を与えていることが理由の一つではあるだろう。しかし原因はそれだけではない。

近年中国は世界工場として大きく経済を発展させてきた。日本でも大半の商品の裏には中国製の文字が刻まれており、ここ30年間日本が足踏みしている間に中国のGDPは実に75倍に膨らんでいる。この急激な中国の経済成長によって、いま世界ではさまざまな問題が起きている。

トランプ大統領が課した米中貿易摩擦により世界経済には不穏な空気が漂ってきているが、このような対中国を視野に据えている国は米だけではない。8月28日に開かれたアフリカ開発会議では、中国の海洋進出を念頭に日本が進める「自由で開かれたインド太平洋」構想について、アフリカで影響力を増す中国を牽制(けんせい)する内容になった。中国はアフリカのインフラ整備と称し、空港の開発の話を持ち掛け、多額の債務を国に負わせる。債務に苦しむアフリカ諸国は借金が払えず、建設した空港を担保として中国に譲る。まんまと空港を受け取った中国はそこを拠点として勢力を拡大するつもりだろう。狙われているのは尖閣諸島だけではない。中国はアフリカやヨーロッパも手中に収めようと企んでいる。トランプ大統領が中国に関税をかけたりイギリスにEU離脱の話を持ちかけるのはそれを阻止する目的も入っていると思われる。

各地で起こっている中国に対する不信感は日に日に拡大し、中国の体制が崩れた時には中国元は価値を持たなくなる。中国の富裕層は万が一の事態に備えて、今のうちに中国元を別の形あるものに代えておきたいのだろう。それが不動産価格の高騰に影響していると思われる。トランプ大統領が次の選挙への出馬表明をしたため、次の大統領選挙までは経済が好調でなければならないため、当面の大きな変動は少ないと思われるが、動向を見守っていきたい。